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整形外科勤務の日常について

医療機関の特徴としては、どうしても年を取ればとるほど、
医療機関のお世話になる回数が増える、ということがあると思います。

けれど、たとえば内科で内臓疾患を診てもらう場合、
年を取ってもさほどどこも悪くなく、定期的に病院を受診しなくても
済んでいる、という人もいるでしょう。

また、内科においては、慢性疾患ではなく、時に風邪を引いたとか、
おなかの具合がよくないといった場合だと、何度かの受診で治り、
もう行かなくて済む、ということもあると思います。

そういった意味では、習慣的に通う人とそうでない人が
分かれる診療科ということになります。

けれど、整形外科においては、そもそもの受診が加齢による
不具合ということであれば、長期的な診察を受けなければならない、
というケースに陥ることが大半でしょう。

腰が痛む、ひざが痛むといった訴えは、高齢者になるほど
多いものですが、これはこうした運動器官と呼ばれる場所が、
長年の使用により劣化してきたことに起因します。

つまり、長い年月、曲げたり伸ばしたりを繰り返してきた場所ですから、
軟骨成分が擦り減って骨同士がこすれ合わさって痛みが出たり、
スムーズに曲げ伸ばしができなくなって痛いと感じたり、ということです。

こうした状況は、根本的に手術などによって治す方法がある場合も
あるものの、たいていは対症療法で治療にあたると考えられます。

できるだけスムーズに動くよう、患部を温めて血行を良くしたり、
痛みを軽減するお薬を処方したり、牽引でくっつきすぎた箇所を伸ばし、
接触面を少しでも減らそうといったような治療です。

こうした治療は一朝一夕に効果が上がるというものではなく、
また、やめてしまうと元の木阿弥ですから、できるだけ毎日続けてください、
ということになります。

そのため、個人経営の整形外科を筆頭に、
毎日同じ患者さんがやってくるということになります。

そこで勤務する整形外科医としては、
毎日診察しているうちに、いつしか顔なじみになるでしょう。

また、長期戦になることが予想されますから、
必然的に長い期間顔を合わせるということにもなります。

医師としてはそれが毎日の仕事の基本となりますから、
患者さんとどう対応していくかということも、
仕事の中の重要な要素となってくると思います。

毎日顔を見るたびに、お互いに不愉快な思いをする時間を持つよりも、
できるだけお互いにいい気分で顔を合わせたいものです。

そういった意味で、整形外科医として信頼されるということは、
人間として好意を持たれる、ということにほかなりません。

すべての人から好かれるのは不可能ですが、せめて受診を希望して
こられる患者さんからは、すべて好かれるくらいの気持ちで、
親身になって治療にあたることが必要だと思います。

もしかするとそれが、整形外科勤務の医師としての日常における診察の中で、
もっともたいせつなことであると言ってもいいのかもしれません。